キャブレターオーバーホール時の注意点を記事にしてみた

ども。

今日も朝から大変忙しくさせて頂き有難う御座いました。

午前中に車両をトラックで取りに来られたお客様が、店に入る向きを間違えた為、方向転換するためにバックで出ようとした時に、あまり周りを見ていなかったのか店の前に置いてあるベンチを

(ズガガガガガッ)

おっ・・・という顔はしていたものの、特にそれ以外は何も無く・・・・・(;´Д`)

コカコーラの椅子

コカコーラのベンチですが私物なんですけどねぇ。まぁベンチが歪むほどだったら弁償して貰いましたが、大した事にもなってないので良かったのですが一言ぐらい有っても良いんじゃ無かろうかとか思ったり思ってなかったり。。

いや、むしろ自販機にすんごいキズが入ったんですけど大丈夫かしら・・・まぁ自販機は私の管理下にはありますが、自己所有物じゃ無いですし・・・・ま、しゃあないって事にしときましょかwww

とまぁ、朝からちょっとびっくりびっくりって感じでしたというお話。

こんな感じでご来店も多い中、合間を縫ってお預かり車両の整備を進めていましたが、キャブレターのオーバーホール作業の場合、電話や来店で中断すると見落としをしてしまいそうになるので注意が必要です(・ω・)

そんなオーバーホール作業の中で見落としやすいポイントや、エンジンのお話を少しだけ掻い摘まんで今日の冒頭でご紹介しましょう。

だらだらと冒頭で書きすぎたので、今日は箸休めって事でそのまま記事にしてしまいますw

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キャブレターのオーバーホール

キャブレターのオーバーホールは当ブログをいつもご覧の方なら既に分かっている事と思いますが、タイヤ交換やブレーキパッドの交換作業などと比べて作業工程が長く、確認すべき点や調整部位や調整値などが多いのが特徴で有り、難易度を上げる部分にもなっています。

また、車両のコンディションに大きく影響を及ぼす部位でも有るため、生半可な気持ちで作業すると痛い目に遭うことも。

単気筒車両のキャブレターならともかく・・・・・

難易度

4気筒車のキャブレターオーバーホール

これはホンダ ホーネットのキャブレターですが単気筒車と比べてその部品点数は単純計算で4倍ですね。

さらにキャブレターの形によってはさらに部品点数が増える場合もありますし、掛けられる手間暇は部品点数4倍どころの騒ぎじゃないことは分かって頂けていると、そう信じていますw

しかも4(多)気筒車の場合、全てのキャブレターで全く同じ部品が使用されているとは限りません。単気筒車やパラレルツインエンジンではあまり意識していなかった問題を解決する為の知惠がそこにはあるからなのです。

単純にサービスマニュアルさえあれば出来るという物でも無いですし。

エンジンなお話

発熱量の違い

山積みのエンジン

V型エンジンや4気筒エンジンともなるとその発熱量は単気筒車とは比べ物にならない程の発熱量になります。排気量の影響ももちろんありますが、膨大な発熱の大部分は常に爆発と燃焼が行われていると言うことです。

単純に単気筒車の倍、爆発と燃焼を行っていると言うことになります。

単気筒の1,000rpm時の場合爆発の回数は、2回転(吸気→圧縮→爆発→排気)で1度の爆発となる為500回。
4気筒の1,000rpm時の場合爆発の回数は、1回転(1/4番吸気(2/3番排気)→1/4番圧縮(2/3番吸気)→1/4番爆発(2/3番圧縮)→1/4番排気(2/3番爆発))で1度の爆発となる為1,000回。

ちょっとややこしい書き方になっていますが何となく伝わりましたかね?

要するに多気筒車の場合、常に爆発が行われている状態故に発熱量が単気筒車以上なのです。そのかわり高出力を得ているんで当然と言えば当然ですけど。

発熱による影響

ホンダ CB400Four

4つのシリンダーが真横に並んでいる形状から、外側(1/4番)は外気に当たりやすく冷えやすい反面、内側の挟まれた(2/3番)は外気も当たりにくい上、左右のシリンダーから熱も伝わってくるため必然的に熱が籠もりやすいのです。

水冷エンジンを使用する事によって随分とその熱の影響は軽減されているとは言え、やはり無視できない温度差が生まれるわけです。

この温度差はどんどんと広がっていき、エンジンのコンディションに影響を与えてしまう為、キャブレターレベルでもその対策が実施されている機種があります(←これが今から書くこと)

V型エンジンの発熱

ロッカーカバーを取り外したエンジン

V型エンジンの場合も似た様な事がありますが、直列4気筒とはまた違う熱の影響です。

V型エンジンの場合はフロントシリンダーが風を遮ってしまい、リヤシリンダーにはほぼ走行風が当たらない構造となっているため、非常に熱が籠もり易くなっており、熱の籠もりやすさや温度上昇幅で言えば圧倒的にV型エンジンの方が過酷な環境下にあると言えます。

なので、直列4気筒では空冷エンジンは今でも存在していますが、V型エンジンで空冷の設定があるのは2気筒まで。4気筒は空冷では冷やしきれないのでしょう。(と、勝手に思っています)

O/H時の見落としポイント

その1

メインジェット

メインジェットの番数の違いです。

発熱量の異なる内側と外側で使用する番手が異なるのが一般的です。外側よりもより発熱量の大きな内側には一番手ほど大きなメインジェット使用します。

単純に発熱量が多ければ空気が膨張して酸素量が減って濃くなりそうだから、逆に一番手ほど小さくするんじゃ・・・・ってお思いの方もいるかも知れませんね。

実はそういうパワーの事に用途を絞った考えでジェットの番数を内側だけ大きくしているのでは無いのです。

だって、それだとスロージェットも内側と外側で変更されていてもおかしくないでしょ?スロージェットに関して言えばどの車両も全く同じ番数の物を使用していますから。

気化熱

エンジンの同調を確認するために、このブログでもたまに本来の用途で使用している写真を載せている事が有るの覚えていますか?

そうそう、マフラーの温度を計測しているアレです。

あれはマフラーの温度が均一かどうか調べているだけではなく、温度にバラツキがある場合にそれが濃いのか薄いのかも見ているんですよね。

排気温度ってのは燃調が薄くなれば薄くなるほど高温になり、逆に燃調が濃くなれば温度が低くなります。

濃い状態・・・って聞くともうお分かりかと思います。

ガソリンを全開時に多く供給することにより、その気化熱によってエンジンの温度を下げるべく、内側だけメインジェットが大きな番数が指定されているのです。

つまり、放射温度計を使用してマフラーの排気温度を計測しつつ、温度の微妙なバラツキを見ながら、最終的にパイロットスクリューを調整して排気温度を出来るだけ均一化して同調を合わせるって訳です。

温度が高い所はパイロットスクリューを開けてガソリン量を増やし、逆に温度が低いところではパイロットスクリューを締め込んでガソリン量を減らして燃焼温度を上げてあげるのです。

その2

シムの存在

ジェットニードル座面部分に入れられているシムですね。

極薄の小さなワッシャなので見落としがちですが、入っている機種があまり多く無いですが注意してジェットニードルを取外さないと、知らず知らずのうちに無くしてしまった・・・なんて事があるかもしれません。

このホンダ ホーネットもそのシムが入れられている1台なので、オーナーさんは覚えておきましょう。

キャブレターを分解する時は、無いだろうという考えではなく、あるかもしれないという注意力が肝要です。

その3

ジェットニードル

このジェットニードルを見てください。

これはホーネットのジェットニードルですが違いが分かりますか?まぁこうして並べれば誰でも分かると思いますが・・・・え?分からない??

マジ?w

いや、そりゃわたしもジェットニードルの形状を見ただけで確信を得るほどの顕微鏡のような繊細な目玉は持っていませんから。

まぁでもこのジェットニードルは並べれば一目瞭然で分かるぐらい、形状に随分と差がありますけれども。

テーパー形状の違い

右端のジェットニードルだけテーパー形状が異なるのがよく分かって頂けると思います。

これぐらいはっきりと見て分かるぐらいの差があれば良いですが、中には目でいくら見ても差が分からないほどの微妙なテーパー形状の差が付けられたジェットニードルがあります。

大丈夫。ちゃんとジェットニードルには刻印があります。

分解時にはこの刻印が全て同一なのか、それとも2種類使用されているのか必ず確認しましょう。もちろん、分かっていると思いますがバキュームピストンを取外した順番に並べてから確認してくださいね。

どのジェットニードルがどの位置に入れられていたのか分からなくなってしまいますから。

でも、考えられない様な配列(1/3番・2/4番や1/2番・/3/4番など)で並んでいた場合は、一度サービスマニュアルなどを確認する必要が有ります。

その4

メインジェットホルダーの種類

メインジェットホルダーの違いですね。

これはホーネットでは無くVツインマグナの物ですが、前後で使用されている物が異なりますが、ジェットのように番数の刻印では無く、このように開けられている穴の数の差です。

これも注意して見ておかないと見落としてしまいますのでご注意ください。メインジェットが同一でも、ジェットホルダーが異なるなんて事も有るかもしれませんし・・・・。

先ほども書いた通り、分解時にはどのキャブレターにどのホルダーが取付けられていたのか記録しておきましょう。

Vツインマグナの場合、ジェットホルダーとジェットニードルの組み合わせが正しいかどうか必ずチェックする事!!

その5

パイロットスクリューをセットする

パイロットスクリューですね。

規準値の戻し回転数が異なる場合があります。

でも、これはV型エンジンの場合に多く見られ、直列4気筒などの場合はほぼ4気筒共に同一である事が多いです。

V型エンジンの場合はパイロットスクリューを取外す前に、一度締め込んでいきながら回転数を読んでおくと参考になります。

補足

パイロットスクリューを準備しておく

パイロットスクリューをキャブレターから取外した際、ほぼ100%と言って良いほどパイロットスクリュー本体だけしか抜けてこないと思います。

殆どの場合でキャブレター側に構成部品が残っています。以下の構成部品を全て取り外すようにしましょう。

パイロットスクリュー本体
スプリング(1)
ワッシャ(2)
Oリング(3)
※数字はパイロットスクリューに入れる順番です

特にOリングとワッシャを取外し忘れてしまうことが多いと思われます。それに、仮に取外したとしても小さな小さなワッシャだけ気が付かずに落として無くしてしまったり・・・。

ご注意ください。このパイロットスクリューの構成部品は多くのメーカーでASSY設定されています。Oリングだけ・・・とか、ワッシャだけ・・・ってのは無理ですwww

お付き合いしているショップさんがあるなら、中古などを持っている可能性があるので相談してみてください。当店も交換後の残った物を保管して万が一に備えていますから。

Oリング、ワッシャに関しては他の機種の物でもほぼ同じなので使用可能。

その6

チョーク経路の疎通確認

フロートチャンバー内にあるこの経路。チョーク用の吸い上げ配管ですね。

メインジェット、スロージェットの取付け部分とは別にだいたい真横ぐらいに配置されている配管です。

このキャブレターの場合は配管がボディに埋まっていますが、↓の様に真鍮製の配管が露出しているキャブレターもたくさん有ります。

どれも同じ様に根本付近にちゃんと抜けています。

チョークラインの疎通確認

かなり細い経路なので詰まっているのでは無く、抜けていないと勘違いされている方も多いと思いますが、キャブレターに開けられている穴はまず全て抜けていると思ってください。

穴はあるけどどこにも抜けずに吹き戻って来るよ・・・という場合は、完全に閉塞状態にあるか、チョークバルブを開くことによって通ることがあります。

また、カットオフバルブを取外すと抜けるような場合もありますので、全ての部品を取外してから各部の疎通確認を実施するようにしましょう。

どうしても閉塞部分が抜けない・・・そういう場合は、一度水洗してガソリンなどの揮発油を全て洗い流してから、閉塞部分をハンダコテで直接温めたり小型のバーナーで加熱することによって閉塞物を溶かしてしまい、冷えて固まる前に細い物で突っついて閉塞状態を取り除くことが出来ます。(配線の銅線を細いこよりにするなどして)

閉塞した状態ではいくら上からキャブレタークリーナーを吹き付けても効果はありません。時間を掛ければ少しずつでも溶かしていく事が出来るかもしれませんがあまりにも効率が悪すぎます。

その7

ラバースカートの穴開き

バキュームピストンのラバースカート部分の穿孔またはヒビ割れですね。

パッと見ただけでは分からない事が多く、ゴムを少し広げると縦に亀裂があったりする場合があります。この写真のバキュームピストンもヒビ割れと縦に亀裂がありますね。

バキュームピストンは負圧によって引き上げられて動作するため、このラバースカートに穴が開いていると負圧が掛からず、スロットルを捻っているのに速度が上がらない、または、パワー感が無いなど、スロットル操作に関する部分で大きなトラブルを発生させてしまいます。

分解時には必ずラバースカートの点検を行いましょう。

まとめ

一言。

思っている以上に色々大変

そんな単純明快じゃないです。ええ。

キャブレターのオーバーホール高すぎぃっっ!!!

と今まで思っていた方が、ほんのちょっぴりでも作業内容を理解して頂けるだけでも随分と気が楽になります♪

もちろん、ショップによって技量の差はあるので、その辺の見極めは大切になってくると思いますが・・・・(;´Д`)

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あとがき

いつもならグリップ表面温度をお知らせしてるんですけど、今日は本文もちゃんと掛けなかったので無しって事でw

ほんとはちゃんとTW225のエンジンの続きを書くはずだったのですが、冒頭部分で書きたいことが止まらなくなってきてしまい、いつのまにかそこそこのボリュームになってしまったので、冒頭記事ではなく本記事へと昇格させましたwww

ま、書き終わる時間の問題もあって、中途半端な所で次回へと続けるぐらいなら・・・って感じです。

時にはこういうのもありでしょう。うんうん。

明日はTWの記事の続き書きますのでお楽しみに♪

ではではまた明日も元気でお目に掛かりましょう☆

コメント

  1. 宮嵜 栄司 より:

    お疲れ様です。以前、クロスカブのあんこぬきで相談させて頂いた際、ヒップへの負担が増すと教えて頂きました。そこで、無い知恵を振り絞って考えた結果、リアショックを2~3㎝短いものにかえてみてはどうかと思い付いたのですが、この方法で、足つきは改善されるでしょうか?ご意見よろしくお願いします。

    • centrumMC より:

      お疲れ様です<(_ _)>

      ローダウンすれば足つき性は改善すると思いますよ。
      ただし、社外品のローダウンサスペンションは乗り味がハードになる場合が
      ありますので、その辺は注意が必要です。

      足つきは良くなった代わりにサスペンションが固くなるってことは多いので。
      どこを重要視するのかは熟慮すべき点ですね。
      足つきなのかクッション性なのか・・・・。

      純正サスペンションのバネレートが変更出来るなら、最も弱い位置にバネレートを変更してみるというのも手です。
      まぁ変更出来ないタイプのサスペンションでしたら交換するしかありませんが。

      • 宮嵜 栄司 より:

        もう少し悩んでみます。ありがとうございましたm(__)m コカ・コーラのベンチ壊れなくて良かったですね!

        • centrumMC より:

          いいえ~♪

          ベンチが鯖折りになったらなったで、これはまたネタにもなるので面白いとは思いますが(^_^;